Shopifyパートナーは、Shopifyに登録して、ストアの構築や紹介、アプリ・テーマの開発でマーチャントを支える個人・法人です。登録すると、専用の管理画面と、クライアント用のストアを作る環境が使えるようになります。
対象になるのは、クライアントのストアに継続して関わる事業者です。想定は、制作会社、受託開発、運用や広告を支援するフリーランス。
自分の事業が登録に向いているか、手続きで何を用意するか、報酬が誰からいつ支払われるか。この記事で扱うのはこの範囲です。
登録の手続きは、サインアップと契約への同意で終わります。判断が必要になるのは、登録したあとにどのルートで報酬を受け取るかです。
1.Shopifyパートナーは継続的にEC支援をする事業者ほど向いている

1-1. 主な対象は制作会社・受託開発・EC支援フリーランス
共通するのは、他社のストアに繰り返し関わる点です。1件で終わる仕事か、続く仕事かで、登録の意味が変わります。
同じパートナー登録でも、報酬の受け取り方は事業の形で違います。定期コミッションを受け取れるのは、ストアを構築してクライアントに引き渡す場合です。
| 事業者 | 主な仕事 | 収益の入り方 |
|---|---|---|
| 制作会社 | クライアントのストアを構築して引き渡す | 移行後の継続コミッション |
| 受託開発 | テーマやアプリを作る | App Store・Theme Storeでの販売収益 |
| 支援フリーランス | 運用・広告・改修を請け負う | 案件の受託費用のみ。プログラムからの報酬はなし |
制作会社の場合、クライアントが移行されたストアを構築し、公開の準備が整った時点で所有権をクライアントへ移します。この移行が継続コミッションの発生条件です。
クライアントが移行されたストアは、自分の組織の管理下でクライアントのために構築する無料のストアです。移行が終わると、マーチャントがストアを所有し、自分の組織からは外れます。
構築に使ったストアがそのまま本番になります。納品時に別環境へ移し替える工程は挟まりません。構築の進め方は、Shopify構築の流れ|要件定義〜公開の全ステップも参照してください。
所有権を移したあとも、コラボレーターアカウントを使えば管理画面に入り続けられます。パートナーがクライアントのストアに入るための権限で、発行にはクライアントの承認が必要です。
テーマやアプリを受託開発する事業者には、販売による収益という別の入り口があります。App StoreやTheme Storeで公開すれば、受託費用とは別の収益になります。適用される割合は、買い切りとサブスクリプションで同じです。
運用や広告の支援が中心のフリーランスは、既存ストアへのアクセスから始まります。コラボレーションでの作業は定期コミッションの対象にならないため、報酬は案件の受託費用です。
無料で作れるストアと、クライアントのストアへのアクセスは、どの事業者でも使えます。案件を重ねるほど、この2つを使う場面が増えます。
1-2. 単発の受託や自社EC運営だけでは報酬が積み上がらない
継続コミッションを受け取れるのは、クライアントが料金を払い続けているストアに限られます。関係が続かない案件では、収入は1回の構築費用です。
紹介による収益は、クライアントがサブスクリプションの支払いを開始した後に受け取れます。計算に入るのは、サブスクリプション料金が発生しているストアだけです。
プラン側にも条件があります。StarterとLiteのマーチャントについては、月額サブスクリプション料金の継続コミッションを受け取れません。クライアントがこの2つを選ぶ案件は、構築費用だけで採算を組むことが前提です。
パートナーとしての報酬は、他社のストアに関わったときに生まれます。所有権を移さずに有料プランへ切り替えれば自分の所有のまま運営できますが、コミッションの対象からは外れます。
構築だけを請け、引き渡し後は関与しない進め方も同じです。区切りは、ストアが解約された時点。運用や追加開発まで続けて関わる案件が、報酬を積み上げます。
2. 無料で審査もいらないパートナー登録

登録は、パートナー登録ページからのサインアップで始まります。メールアドレスを使う場合は、届いたメールで確認を済ませます。既存のShopifyアカウントを使う方法も選択肢です。
アカウント情報を入力し、パートナープログラム契約に同意すると、パートナーダッシュボードが使えるようになります。費用も審査もかかりません。
登録が終わったら、2段階認証を設定します。全パートナーに必須で、クライアントのストアにコラボレーターアカウントで入る経路を守るための設定です。
2-1. 個人と法人は事業規模と体制で選ぶ
登録の条件は、個人でも法人でも同じです。分かれ目になるのは、1人で受けるのか複数人のチームで動くのかという体制の差です。
複数人で動く場合は、組織として登録します。管理できるのは、チームのユーザーと役割、セキュリティです。担当者ごとに権限を分ける必要があれば、個人名義よりも後の運用は軽くなります。
入金の段階でも差が出ます。事業として活動する場合、初回の支払いを受け取る前に本人確認の情報を求められることがあります。個人でも、収益が一定のしきい値に達した時点で求められる場合があります。
途中で名義を変える場合は、アカウントを統合する場面が出てきます。統合すると、25米ドル未満の保留中の支払いは失効します。25米ドルを超えるまで待ってから統合すれば、受け取りも可能です。
法人化を見込んでいるなら、報酬が発生する前に統合を済ませる形が単純です。名義と提出書類を先にそろえておけば、初回の入金までの手戻りも減ります。
2-2. 登録後に扱うストアは用途で3種類に分かれる
納品用に作ったストアで、アプリの動作テストまで済ませたい場面があります。Shopifyは用途ごとにストアのタイプを分けており、それぞれできることが違います。
扱うのは、クライアントが移行されたストア、開発ストア、コラボレーションです。前の2つは自分で作成し、コラボレーションはマーチャントの承認を受けて参加します。
いずれもDev Dashboardのストアタブで扱います。ストアを作ったり、既存ストアへのアクセスを申請したりする画面です。支払いの確認やリードの送信を行うパートナーダッシュボードから、ストアまたは自分の名前をクリックして移動します。
クライアントが移行されたストアでは、作成時に国または地域を選びます。クライアントがPlusの機能を必要とする場合は、Shopify Plusを選択できます。
開発ストアは、アプリやテーマの構築とテストに使います。機能のプレビューとテストデータに対応しており、クライアントへ移行することはできません。
コラボレーションは、マーチャントがすでに所有しているストアで作業する形です。マーチャントがアクセスを承認すると、コラボレーションタブに表示されます。アクセスできる範囲の管理はマーチャント側です。
移行前のストアには、次の制限があります。
・実際の取引はできない
・インストールできるのは無料アプリとパートナーフレンドリーアプリのみ
・配送ラベルはテスト専用
アプリの開発を伴う案件では、検証の場所を分ける必要があります。カスタムアプリと下書きアプリは納品用のストアに入れられないため、別に開発ストアを立てて動作を確認します。実際に動かせるのは、移行してクライアントが有料プランを始めてからです。
3.ルートごとに違う報酬の出どころと受け取り方

3-1. 移行・営業支援・販売でルートが分かれる
報酬の出どころは3つに分かれます。クライアントがShopifyに払う利用料、Shopifyが紹介の成果に出すインセンティブ、自分の販売額です。
| ルート | 報酬の出どころ | 受け取りの向き | 料率 |
|---|---|---|---|
| クライアントが移行されたストアの移行 | クライアントの利用料 | Shopify → 自分 | 8月9日までの契約・移行は月額料金の20%(Plusは請求プラットフォーム手数料の20%) |
| 営業支援によるPlus・Enterpriseの紹介 | Shopifyが出す紹介インセンティブ | Shopify → 自分 | 要件を満たした場合に1回限り2,500米ドル |
| アプリ・テーマの販売 | 自分の販売額 | 自分の売上 → Shopify(手数料) | テーマ85%/アプリは区分別 |
※8月10日以降に契約または移行された分は、月額料金の20%とオンラインGMVの0.1%が4年間。アプリ・テーマの販売は改定の対象外
出典:Shopify パートナーの獲得収益、A New Partner Earning Model Built for Shared Growth
紹介では、Shopifyから報酬を受け取ります。販売では、自分の売上からShopifyの取り分が引かれ、残りが入金されます。この取り分をShopify手数料と呼びます。
紹介の報酬の計算基準は、クライアントが実際に支払った金額です。キャンペーンの割引やクレジットが使われていれば、その分だけ報酬も少なくなります。
アプリの販売では、処理手数料もかかります。アプリの請求に対して2.9%が差し引かれ、Shopify手数料とは別の項目として請求されます。差し引かれた金額は、パートナーダッシュボードの「支払い」ページで確認できます。
アプリの取り分は、収益の規模で2つに分かれます。入口の条件は、前暦年のApp Store収益が2,000万米ドル未満で、会社の総収益が1億米ドル未満であることです。
区分の境目は、2025年1月1日以降に得た収益のうち最初の100万米ドルです。ここまではShopify手数料が引かれず、超えた分は85%になります。
どちらの区分でも、処理手数料は別に差し引かれます。
どちらの区分を使うにも、レベニューシェア引き下げプランへの登録が前提になります。小規模な開発者の取り分を引き上げる制度で、パートナーダッシュボードの登録ページから申し込みます。
このプランの申し込みには、19米ドルのShopify App Store登録手数料がかかります。無料のパートナー登録とは別の手続きです。免除されるのは2021年8月1日より前に作られたパートナーアカウントのみで、新しく登録するアカウントは対象外です。
営業チームと組む案件は、手続きの順番が決まっています。パートナーダッシュボードのShopify Plusリードフォームから案件を送ることが条件です。
送信より前にクライアントが営業チームと接触していると、資格のないリードとして扱われ、コミッションは発生しません。
報酬が発生する条件は3つです。
・2026年4月30日以降にPlusまたはEnterpriseで契約された案件
・紹介先が5,000米ドルを超える流通取引総額を生む
・紹介の送信から90日以内に適格と認められる
3つを満たした場合の報酬は、成約時の1回限りの支払いです。
ローンチ作業まで担う場合は、別に継続のコミッションが用意されています。ただし、クライアントが移行されたストアの報酬とは組み合わせられません。
紹介のルートには変更が決まっています。対象は、2026年8月10日以降に契約が締結されたか、移行されたストアです。
新しい条件では、サブスクリプション料金の20%に、オンラインの流通取引総額の0.1%が加わります。どちらも4年間で、起算点は最初のパートナー支払いです。
対象になるGMVは、B2Bを除くオンラインの消費者取引です。返品と返金を差し引いた純額で計算され、年間1億米ドルまでが上限です。
8月10日より前に契約または移行されたストアには、これまでの条件がそのまま続きます。クライアントが支払いを続けるあいだ、期限なく毎月発生します。
移行を軸にするなら、引き渡した後もクライアントと関わり続ける体制が必要です。営業支援を軸にするなら、リードフォームを出す順番の管理が要になります。販売を軸にするなら、公開したプロダクトの売れ方が収益を左右します。
3-2. 報酬の発生条件と支払いサイクル
計上された日と入金日は一致しません。あいだに挟まるのは、保留期間と最低金額という2つの関門。
定期的なコミッションは、クライアントが移行されたストアの譲渡に対して支払われます。共同管理者のアカウントは対象外です。営業チームを通じて契約したストアには、別の規約が適用されます。
新しい紹介ごとに、初回の収益には保留期間がつきます。クライアントが最初の請求を支払ってから30日間、決済の確定を確認する期間として置かれます。
支払いは月に2回です。計上された時期ごとの支払日は次のとおりです。
| 収益が計上された時期 | 支払日 |
|---|---|
| 1日〜10日 | 同月15日から5営業日後 |
| 11日〜月末の5日前 | 月末から5営業日後 |
| 月末の5日間 | 翌月15日から5営業日後 |
残高が25米ドルに届かない場合は、次の支払い期間まで繰り越されます。報酬は米ドルで計上されます。
支払いはHyperwalletを通じて行われます。報酬の送金を専門に扱うサービスで、Shopifyからの入金はここを経由して届きます。受け取り方法の登録は、初回の支払い前です。
銀行口座を登録する場合は、実在の口座が必要です。Payoneerなどの仮想銀行口座はパートナーへの支払いに対応していません。
米ドル以外で受け取る場合は、Hyperwalletの基本為替レートが適用されます。支払い額の0.50%が通貨両替手数料としてかかり、負担するのはパートナー側です。
販売による収益と紹介による収益は、別々に計算されます。片方だけが基準額に達した時点で、その分が支払われます。
最初の入金は、保留期間を挟んだ後の支払日になります。年払いのクライアントについては、割引後の金額をもとに毎月支払われます。
4.よくある質問(FAQ)

Shopifyを使っていなくてもパートナーになれる?
自社でShopifyを運営していなくても登録できます。登録に必要なのは、メールアドレスとアカウント情報だけです。
自社ストアがなくても、検証は登録した時点から始められます。Dev Dashboardでストアを作り、管理画面の操作を確かめられます。
開発ストアで作ったものは、そのままクライアントに引き渡せる?
開発ストアはアプリやテーマの検証用で、クライアントへ移行できません。納品を前提にする場合は、はじめからクライアントが移行されたストアとして作ります。
引き渡しの予定があるなら、ストアを作る時点で用途を選びます。開発ストアで作り込んだあとに移行する経路はありません。
登録すればパートナーディレクトリに掲載される?
掲載は、登録とは別の条件で決まります。判定されるのは次の3点です。
判定は件数と直近12か月で行われるため、登録した時点では関係しません。
当面は紹介と直接取引の件数を積む段階になります。どの案件を優先して受けるかは、発注側が費用・実績・ランクをどう見比べるかから逆算できます。
しばらく使わないとアカウントはどうなる?
2年間なにも操作がないと、非アクティブなアカウントとして扱われます。通知が届き、60日以内に対応がなければアカウントは閉鎖されます。
対象になる操作は、ログインやストアの作成、リードの提出、コラボレーターアクセスの申請などです。
維持のために特別な運用は要りません。案件が途切れる時期に一度ログインしておけば、それだけで条件を満たせます。
閉鎖されたあとも、パートナーサポートに連絡すればアカウントを再度有効にできます。削除を依頼しない限りデータは保持されるため、復元も可能です。
まとめ

パートナー登録は、クライアントのストアを構築して引き渡す事業者にとって、費用をかけずに継続的な報酬を得る手段になります。運用支援が中心の場合は、無料のストアとアクセス権が実務で使えるようになります。
登録を済ませた時点で、Dev Dashboardからストアを作れるようになります。個人でも法人でも登録の条件は変わらず、差が出るのは本人確認を求められるタイミングです。
報酬は出どころごとに3つのルートに分かれ、発生から入金までには保留期間と最低金額が置かれます。8月10日以降に契約または移行されたストアには、4年間という期限が付きます。
次の一歩は、登録してクライアント用のストアを実際に作ってみることです。案件が動く前に操作を確かめておけば、見積もりや工数の判断にも使えます。
この記事の料率は公開時点のものです。8月10日の改定を含む最新の条件はShopify パートナーの獲得収益に反映されるため、見積もりを出す前に数字を突き合わせておくと確実です。
参考文献
パートナーアカウントを管理する
Shopify Partner Directoryへの資格要件
Shopify パートナープログラムに関するよくある質問












