ECサイトリニューアル、結局いくらかかる?目的×規模で見る費用相場

ECサイトリニューアル、結局いくらかかる?目的×規模で見る費用相場
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「ECサイトをリニューアルしたい。で、結局いくらかかるんだろう」。社内で予算を通す前に、まずこの一点を知りたい、という場面は多いはずです。

Web幹事が公開している、全国5,000社の見積もりにもとづくデータ1では、ECサイトリニューアルの費用は平均169.9万円、中央値117.2万円。発注金額の47%が100万円以下、49%が100万〜500万円に収まっています。ただ、この幅の広さこそが「相場がわかりにくい」原因です。

費用を動かすのは、大きく2つ。「何のためにリニューアルするのか(動機)」と「どのくらいの規模か」です。本記事では動機を主軸に費用の中身を分解し、各セクションで規模による変動も併せて確認します。読み終えたとき、自社がどのレンジに着地しそうか見当がつく状態を目指します。

1.リニューアルの動機が変われば、費用は変わる

ビジネスと天秤

リニューアルといっても、目指すゴールが違えば、お金がかかる場所も変わります。同じ予算でも、デザインに振るのか裏側の連携に振るのかで、手に入る成果は変わってきます。

1-1. 売上拡大が目的|CVR改善とLP連動

訪問数は前年並み。なのに、カートに入れてから先へ進む人が、月を追うごとに減っている。この手前の離脱を止めたい——売上を伸ばすためのリニューアルは、たいていここから始まります。

お金の大半は、画面の見た目ではなく設計に吸われます。広告の受け皿になるLP単体なら、マーケティングログの調査2で平均約55万円・中央値40万円前後。これがEC全体の導線改修になると、ページ数しだいで数百万円規模まで伸びます。

なぜ設計かは、LP制作費の内訳を見ると分かります。GMOらくらくホームページ制作3によれば、最も案件が多いのは30〜60万円帯で、その費用の3分の1ほどを「設計」に充てる例が多い。残りがデザインとコーディングです。払っているのは、どの導線で買ってもらうかを組み立てる工数で、画面の華やかさではありません。

ここに施策ごとの上乗せが乗ります。写真撮影やイラストで5万〜15万円、コーディングでさらに5万〜15万円。作り込むほど積み上がり、扱うページ数が100を超えるあたりから、設計もコーディングも一気に重くなります。

だから売上目的の見積もりは、デザイン費の安さより、設計にいくら積まれているかで読むと外しません。LP1枚の55万円も、見た目ではなく「売れる導線」への投資だと捉えると、高い安いの基準そのものが変わってきます。

1-2. 運用効率化が目的|基幹連携と自動化

毎朝、注文一覧を開いて伝票を一枚ずつ印刷し、在庫は手で数えて打ち直す。注文が増えた分だけ、この単純作業に追われる時間も伸びていく。

ここで効いてくるのは、表の画面より裏側の連携です。アプリで足りる範囲なら、出荷自動化も在庫の一元管理もおおむね月5,000〜30,000円。けれど販売管理や会計といった基幹システムとつなぐ段になると、初期の連携開発費がぐっと重くなります。

ECサイトの費用はデザイン代だけではありません。ドコドア4は、費用がデザイン・開発(要件定義・実装・テスト・データ移行)・セキュリティ・決済・インフラで構成されると分解しています。お金がかかるのはこの「開発」、なかでも連携先が公式アプリやAPIを持たない独自システムのときです。先の5,000社データでも、決済や外部ツールとの連携は見積もりが大きく跳ねる要因に挙がっています。

見合うかどうかは、いま手作業に毎月何時間とられているかを一度測れば足ります。その人件費を、連携の初期費用と月額が何ヶ月で取り返すか。この引き算が出れば、連携費に出していい上限も自然と決まります

1-3. ブランド刷新が目的|デザインと体験設計

「写真が、もう古いんですよね」。ブランドを立て直したいという相談は、Raboでもこの一言から入ることが多いです。商品の力は変わっていないのに、サイトの空気だけが数年前で止まっている。

予算を吸うのは機能ではなく、世界観をどう立ち上げるかです。ロゴからWebサイト、紙物まで一式で組むブランディングは、クロスデザイナーの整理5で約400万円前後が相場。サイト単体ならそこまではいきませんが、目に見えて額が動くのが撮影で、商品撮影はプロに頼むと、ふぉとるの解説6で1カットあたり2,000円〜、スタジオ代が別途1時間8,000円ほどかかります。

世界観は、テンプレートの色を替えるだけでは出せません。何カット撮るか、イメージカットをどこまで作り込むか、テーマをどこまで独自に組むかで、デザイン費も撮影費も動きます。Order Photo Studio7は1カット1,000〜50,000円という開きを示しています。逆に、使える写真やトーンが手元に揃っていれば、撮影をかけずデザイン費だけで刷新できることもあります。

同じ「刷新」でも、素材が揃っているブランドと、ゼロから撮り起こすブランドでは、総額の桁が変わります。前者ならデザイン費中心で収まり、後者は撮影だけで別途数十万円が乗る。刷新の費用を一番大きく動かすのは、この素材の有無です。

1-4. カートのEOLで動く|何から何へ移すかで費用が決まる

ある日届いた一通のメールで、使っているカートのサービス終了を知る。やりたいことがあったわけではない。でも、動かないわけにはいかなくなった。この受け身の乗り換えは、ほかの3つと費用の決まり方が違います。引っぱる動機がない分、金額を左右するのは移行元と移行先の組み合わせ。下の表が、その重さの目安です。

移行元何にお金がかかるか費用の重さ
無料カート
(BASE・STORES など)
データ量が少なく連携も最小。
デザインの再現が中心
軽め
ASP・パッケージ
MakeShop・カラーミー・
EC-CUBE など)
商品・顧客・受注履歴の移行に
加え、外部連携の作り直し
中〜重
フルスクラッチ・独自システム受注履歴や基幹連携の移植、
要件の再定義から
重い

この重さに、規模が掛け算で乗ります。先の5,000社データでは、カートを変えるリニューアルで100万〜500万円、ページ数が100を超えると100万〜1,000万円、フルスクラッチでの作り直しは500万円以上。移行元が重く、ページも多いほど、レンジの上へ振れます。同じ調査元は別の解説で、構築方法を年商だけで選ぶと手数料で利益が崩れ、結局また乗り換える羽目になるとも指摘しています。受け身のときほど、目先の月額の安さだけで移行先を決めない——これが効きます。

結局、受け身でも総額は「いま何のカートで、何件のデータを抱えているか」でほぼ決まります。データが軽い無料カート発なら数十万円から、独自システム発なら数百万円から。スタート地点は、最初の一通が届いた時点でおおよそ見えています。

自社の動機がどのレンジに当たりそうか整理した上で見積もりを取りたい場合は、Raboの無料相談で一緒に要件を棚卸しできます。

2.見積もりに出てこない、リニューアルの隠れコスト

虫眼鏡とビジネス書

総額のレンジが見えても、それで予算が固まるわけではありません。見積書の表に出にくく、あとからじわじわ効いてくる費用があります。ここを先に押さえておくと、総予算をリアルに組めます。

2-1. データ移行費(商品・顧客・受注履歴)

見積書を眺めて「これで全部かな」と思ったとき、いまのサイトにある商品・顧客・受注履歴を新しいサイトへ移す作業が、独立した項目として見当たらない。これが最初の落とし穴です。

データ移行は「そのままコピーするだけ」に見えて、新旧のフォーマット差を人の手で埋める作業と、移行後の確認テストに工数がかかります。見積もりでは開発費に溶け込みやすく、単独では金額が見えにくいのが、隠れコストと呼ばれる理由です。

移す対象ごとに難しさが違います。商品・顧客・受注履歴・レビューのどれかが欠けたまま公開すれば、欠品の見落とし、メール配信やサポートの取りこぼし、リピート施策の空振りに直結します。さらに新旧のシステムでは、日付の形式や文字数の上限、機種依存文字、半角・全角の扱いが食い違うことが多く、この差を一つずつ突き合わせて直す作業が、そのまま工数になります。

だからデータ移行は、固定額ではなく作業量で積まれるのが通例です。先の調査ではシステム寄りの作業について、エンジニアを1日確保するのに5万円、それが30日で150万円といった人日ベースの見積もり方を紹介しています。抱えるデータの件数と新旧の差が大きいほど日数が伸び、費用も伸びる。なお、過去の受注履歴は無理に移さず、hit-mallの解説8にあるように旧データ専用のデータベースを別に持ち、新サイトから参照して表示する方法もあり、移行範囲を絞って費用を抑える選択肢になります。

見積もりを受け取ったら、商品・顧客・受注履歴がそれぞれ何件あるか、いまのカートからCSVで書き出せるか——この2つを先に手元で押さえておきましょう。件数と書き出しの可否さえ握っておけば、移行費が抜けた見積もりに振り回されずに済みます。

2-2. 要件定義・ディレクション費

削れそうな費目を探すと、たいてい最初に目が留まるのが要件定義とディレクションです。成果物が手元に残らないぶん、つい「ここは薄くできないか」と言いたくなります。

ところがここを削ると、手戻りで結局高くつきます。費用は作業量に対して割合で乗るのが通例で、この調査9では全体の10〜30%が相場。総額300万円のリニューアルなら、30万〜90万円がこの枠にあたります。

このやり取りの工数は、削れば消えるものではなく、場所を変えて戻ってきます。要件が固まらないまま進めれば、後から「やっぱりこうしたい」が積み重なり、追加見積もりや作り直しで膨らむ。逆に、発注側がやりたいことの優先順位と現状の課題を整理して渡せれば、ディレクションの工数そのものを軽くできます。

効かせるコツは、発注前に「何を解決したいのか」「いま何に困っているのか」を自分の言葉で持っておくこと。それがあるだけで、各社の提案が同じ土俵に並び、金額の差がどこから来るのかを読み解けるようになります。

2-3. 決済手数料・カート月額の差分

初期費用の見積もりは固まった。けれど、毎月のカート月額と、売れるたびに引かれる決済手数料は、公開したあともずっと続きます。初期の金額に気を取られて、ここは後回しになりがちです。

見落としやすいのが、このランニングの差分です。月額が安いカートほど決済手数料は高く設定されていることが多く、売上が伸びると、両者のトータルコストが逆転します。

たとえばstockcrewの試算10では、月額無料のBASEは販売手数料3%と決済手数料3.6%で合計6.6%。売れた分だけ手数料が積み上がります。月額を払うプランは、そのぶん料率が下がる設計です。Web幹事の比較11でも、月商20万円前後を超えると、手数料の高い無料カートより、月額を払って料率の低いプランのほうがトータルで安くなる傾向と分析されています。

移行先をShopifyにする場合も、月額と決済手数料、さらにコンビニ決済など外部の決済手段を足すと追加手数料が乗る、という同じ構造で見ます。ただし各プランの月額や料率は改定が入りやすいため、検討時点の最新の数字を必ず確認してください。

カートは初期費用だけでなく「月額+決済手数料」のトータルで、しかも自社の月商がこの先どこまで伸びるかと併せて選ぶこと。いまの売上で安く見えるカートが、伸びた先でも安いとは限りません。

自社の月商規模だと、どのカートのトータルコストが有利になるか。Raboで実際の数字を当てて試算できます。

3.まとめ|自社の予算感をつかみ、次の一歩へ

階段と登る人

ここまで費用を、動機(売上拡大・運用効率化・ブランド刷新・カートのEOL)と規模の2軸で見てきました。動機でだいたいの方向が決まり、規模がその金額を上下させる。この二段で、自社の予算感はかなり絞り込めます。

やることは、3つの数字を埋めるだけです。ひとつ、自社の一番の動機はどれか。ふたつ、商品・顧客・受注はそれぞれ何件で、ページ数はどのくらいか。みっつ、いまのカートの月額と決済手数料はいくらか。この3点が書ければ、総額がどのレンジに着地しそうか、そこに移行費や要件定義費といった見えにくい費用がどれだけ乗るかまで、自分で見当をつけられます。

そのうえで、初期費用とランニングは分けて考えること。見積額が同じでも、公開後に毎月かかる月額と決済手数料は、数年積み上げれば大きな差になります。総予算は、作って終わりの金額ではなく、運用まで含めた数年単位の合計で組むのが安全です。

次の一歩は、見積もりを取る前の手元の整理から。上の3つの数字と、リニューアルで解決したいことを箇条書きにしておけば、複数社へ同じ条件で見積もりを依頼でき、金額の差がどこから来るのかを見比べられます。要件があいまいなまま相見積もりを取っても、各社バラバラの前提で出た数字は比べようがありません。

手元の数字は揃ったけれど、自社の動機だとどのレンジが妥当か当たりをつけたい——そんな段階で、Raboの無料相談を使ってください。要件の棚卸しから一緒に進められます。

4.出典一覧

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