Shopify App(アプリ)費用の落とし穴|月額ランニングコストを抑える構成術

Shopify App(アプリ)費用の落とし穴|月額ランニングコストを抑える構成術
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Shopifyでアプリを足すたびの月額は、どれも数千円です。けれど積み上がった請求を見て、「何にいくら払っているんだろう」と手が止まることがあります。この記事では、ランニングコストが膨らむ4つの起き方を押さえたうえで、開店時にどこまで入れるか、そして月額を抑える構成をどう組むかまでを順に見ていきます。読み終えたら、自分のアプリ構成をその場で点検できるはずです。

1.初期費用は抑えられても、ランニングで逆転する──アプリ費用の落とし穴

線路の上で立ち位置を確認する

Shopifyは初期費用を抑えて始めやすく、月額数千円のアプリを少しずつ足していくのも、その時々では小さな判断に見えます。ところが運用が半年、1年と続くと、この「少しずつ」が固定費として効いてきます。ここでは、ランニングコストがどう膨らんでいくのか、そしてその膨らみがなぜ気づきにくいのかを、4つの起き方に分けて見ていきます。

1-1. 使わなくなっても、解約しない限り課金は止まらない

季節キャンペーン用に入れたフォーム、一度きりのモール連携、試しに使った分析ツール。導入の場面では目的がはっきりしているので、足す判断は速い。問題はそのあとです。キャンペーンが終わっても、連携が不要になっても、解約という操作を誰かが意識して動かさない限り、アプリは残り、請求も同じ額で続きます。

現状のアプリ構成を一緒に洗い出すと、「これ、まだ入っていたんですね」という反応が出ることがあります。担当者が代わって引き継ぎから漏れていたり、入れた本人も忘れていたり。月数千円なので、明細をざっと眺めても引っかからない。止まっていてもおかしくない課金が、何ヶ月も通過していきます。

使っていないアプリの課金は、明細を一行ずつ確認しない限り見つかりません。足すときの勢いに対して、外すときの仕組みがない。この非対称が、ランニングコストの土台を静かに押し上げていきます。

1-2. 売上が増えた月ほど、月額が膨らんでいく

月額が固定だと思って入れたアプリが、実は使った分だけ請求が増える仕組みだった。これが従量課金です。注文が増えた月、つまり一番うれしいはずの月に、アプリの請求も一緒に膨らみます。

従量課金の基準はアプリによって違います。注文1件ごと、メール1通ごと、レビュー依頼1回ごと。小さな単価でも、件数が数百・数千と伸びれば総額は無視できなくなります。固定額のアプリと違い、来月いくらになるかが事前に読みにくいのも特徴です。

やっかいなのは、規模が小さいうちは従量課金のほうが安く見えることです。月に数件の注文なら、1件あたり数十円の課金はほとんど気になりません。ところが注文が数百件、千件規模と伸びたとき、同じ単価が一気に効いてきます。売上の伸びと費用の伸びが同じ方向に動くため、利益率だけが先に削られていく状態になりやすいです。

つまり従量課金は、売れるほど効いてくる費用です。小規模なうちの安さだけを見て選ぶと、注文が伸びた局面で固定額のプランより高くつく、という逆転が起こりえます。

1-3. 別々のアプリで、同じような機能に払っている

問い合わせフォームのアプリとレビューのアプリが、どちらもメール送信の機能を持っている。接客チャットとメール配信が、それぞれ顧客リストを抱えている。1つずつ見れば必要な機能でも、横に並べると役割がかぶっている部分が出てきます。

こうした重なりは、一度に全部を入れていれば気づきます。ところが実際は、半年前に1つ、先月また1つ、と時間をあけて足していく。そのつど目の前の課題は解決するので、過去に入れたアプリと照らし合わせる機会がありません。気づいたときには、毎月の請求の内訳を全部は説明できない状態になっています。

アプリが増えるほど、全体で何にいくら払っているかは見えにくくなります。1つずつの判断は正しくても、積み重なった結果が最適とは限らない。この「合計を見ていない」状態が、重複への気づきを遅らせます。

1-4. 標準にある機能を、月額を払って持っていた

月数千円のアプリを3つ4つと重ねれば、それだけで月1万円前後の固定費になります。やっかいなのは、その中にShopify本体やテーマにもともと備わっている機能を、わざわざ月額で持っているものが混じっていることです。「この機能はアプリが要る」という思い込みが、入り口になりがちです。

Shopifyを使い始めた段階では、どこまでが標準で、どこからがアプリの領分かの線引きは見えにくいものです。検索すれば便利なアプリはいくらでも出てきます。標準で足りるかを確かめる前に、目に入ったアプリで解決してしまう。確認のひと手間より、入れてしまうほうが速いからです。

標準で賄えるかどうかは、アプリを入れる前にしか見直すきっかけがありません。だからこそ、何が本体やテーマで足りるのかを先に押さえておく価値があります。具体的に何が標準で足りるのかは、後の章で一覧にします。

2.アプリは開店に必要か、売上が立ってから必要かで分ける

考える吹き出し

アプリを調べ始めると、どれも「あったほうがよさそう」に見えてきます。レビューも、メルマガも、アップセルも、ひととおり入れておきたくなる。けれど開店の時点で本当に要るものは、思っているより少ないです。ここでは、開店時に入れるものと、売上が立ってから足せばいいものを、どう仕分けるかを見ていきます。

2-1. 開店時の優先順位は、入れる理由と後回しの線引きで決まる

開店時に入れる理由になるのは、2つだけです。「それがないと売上が立たない」か、「日本のEC利用者が当然と感じる手段で、なければ離脱につながる」か。どちらかに当たるものが、開店時の候補になります。

1つめは売上に直結するかです。注文・決済・出荷のどこかが回らなければ、そもそも商売が始まりません。2つめは商習慣です。機能としては必須でなくても、国内の買い手が「ないと不安」と感じる手段は、開店時から備えておかないと購入をためらわせる原因になります。

そのうえで、もう一段ふるいにかけます。候補に挙がったものでも、後から足しても運用に支障がないものは、開店時には持たない。レビューやメルマガのように「売上が立ってからのほうが効く」機能がこれにあたります。入れる理由が立つか、そして後回しでも困らないか。この2段で見ると、開店時のリストは一気に絞り込めます。具体的に何が残るかは、次で見ていきます。

2-2. 開店時に必須のアプリ

前の整理を通したとき、開店時に必須として残るのはどんな機能でしょうか。残るのは「標準では賄えず、かつ売上・出荷・商習慣に直結するもの」です。代表例が、国内配送業者向けの送り状発行と、コンビニ決済・後払い決済への対応です。

送り状について補足すると、Shopify自体に配送ラベルやフルフィルメントの仕組みはあります。ただ、ヤマト・佐川・日本郵便といった国内配送業者の伝票フォーマットへの出力は標準では対応しておらず、専用アプリでの連携が前提になります。国内で配送業務を回す以上ここは避けて通れないので、開店時から仕組みを用意しておく必要があります。決済も同じで、国内のEC利用者にはコンビニ決済や後払いを使う層が一定数いて、希望する支払い方法がないと、買い物の最後で離脱が起きやすくなります。

2-3. 後回しでいい|レビュー・メルマガ・アップセル系

レビュー、メルマガ、アップセル。このあたりは開店時に入れなくても売上は立ちます。むしろ、売上が立ってからのほうが効くアプリです。

理由は単純で、これらは「すでにある何か」を前提に効果が出る機能だからです。レビューは商品が売れて初めて集まります。メルマガは配信先の会員リストが要る。アップセルは購入履歴や閲覧データが貯まるほど精度が上がります。開店直後はそのどれもがまだ手元にないので、入れても動かす材料がありません。

開店時にこれらを入れても、レビューはゼロ件、配信先もゼロ件のまま固定費だけが発生します。先に入れておきたくなる気持ちは分かりますが、効果が見えないまま月額を払い続けることになりがちです。注文が積み上がり、会員が増えてきた段階で足せば、入れた月から効果を確かめられます。

後回しでいいアプリは、固定費を開店時に背負わず、効果が見える段階まで待ちます。開店直後の月額を軽くしておけば、売上が立つまでの体力も保ちやすくなります。

3.月額を抑える構成は、「標準機能・統合・課金体系」の3点で決まる

三本のペン

ここまで見てきた落とし穴は、どれも「気づけば膨らんでいた」という形で起きます。裏を返せば、入れる前と入れたあとに点検する観点さえ決まっていれば、膨らみは抑えられます。その観点が、標準機能・統合・課金体系の3つです。順に見ていきます。

3-1. 標準機能|アプリで補う前に、Shopify本体の機能を確認する

アプリで入れがちな機能のうち、いくつかはテーマの設定やShopify本体の標準機能で足りることがあります。入れる前に、まずこのあたりを確認してみてください。

テーマ側で表示できることが多いもの

・FAQのアコーディオン展開

・「あわせて買いたい」などの関連商品の表示(多くのテーマに関連商品セクションがあります)

・メガメニュー

Shopify本体の標準機能で対応できるもの

・割引・クーポンの発行(ディスカウント機能が標準で使えます)

・カゴ落ちメール(決済未完了の通知を自動送信でき、効果のレポートも見られます)

・ギフトカードの販売 ・商品一覧の並び替えや、定価とセール価格の二重表示

ひと手間かければ、アプリなしで作れるもの

サイズガイドのように、最初から表示できるわけではないものの、メタフィールド(商品に独自の情報を持たせる機能)とテーマの編集を組み合わせれば、アプリなしで実装できるものもあります。最初の設定にはひと手間かかりますが、専用アプリの月額を払わずに済みます。メタフィールドの仕組みは、Shopify公式ヘルプが参考になります。

一方で、次のような機能はテーマや標準では賄えず、アプリが必要になります。商品レビューの収集・表示(以前あったShopify公式のレビュー機能は提供が終了しており、現在は外部アプリが前提です)、閲覧履歴をそのまま再表示する「最近見た商品」や、購入・閲覧の傾向から別の商品をすすめるレコメンド、サブスクの決済処理、ポイント残高の管理、会計ソフトへのデータ連携。画面の見た目や基本的な販促に関わる部分は標準やテーマで対応できることが多く、データを蓄積して動かす処理はアプリの領分、というのがおおまかな分かれ目です。

この線引きを知らないまま進むと、標準で出せる関連商品や、本体機能で送れるカゴ落ちメールを、わざわざ月額のアプリで入れてしまう、といったことが起こります。問題は、入れたあとでは「これ標準でできたんだ」と気づく機会がほとんどないことです。アプリは一度動き始めると、外して標準に切り替える手間のほうが大きく見えてしまいます。

だから確認のタイミングは、アプリを入れる前が最も重要になります。気になる機能があったら、まずテーマの設定画面と標準機能を一度開いてみる。その確認が、いちばん効きます。

3-2. 統合|複数のアプリで払うより、1本にまとめる

いま入れているアプリを、機能ごとに並べてみたとき、役割が近いものはありませんか。出荷、在庫、注文管理あたりは、別々のアプリで持っているケースがよくあります。

たとえば出荷自動化に1万円、在庫の一元管理に1万円を別々に払っているとします。この2つは、OMS(注文・在庫・出荷をまとめて扱う仕組み)1本でカバーできる場合があります。個別に積み上げた合計と、OMS1本にまとめたときの月額。この2つを並べて比べると、まとめたほうが安くなることがあります。

料金の感覚をつかんでおくと、国内のOMS・物流連携サービスは月額1万円台から2万円台が中心で、加えて出荷件数に応じた従量課金(1件20円前後)がかかるものが多いです。一定の出荷件数までは無料枠を設け、それを超えた分だけ課金する形が一般的です。

ただし、まとめれば必ず得とは限りません。統合アプリ1本にしたことで、これまで使えていた細かい機能が削れることもあります。比べるのは金額だけでなく、いま使っている機能が過不足なく移せるかどうか。乗り換える前に、その確認は要ります。

機能が重なったアプリを別々に持ち続けるより、1本に寄せられないかを一度検討する価値はあります。合計額を出して、統合アプリと並べてみる。それだけで、削れる固定費が見えてくることがあります。

3-3. 課金体系|固定額と従量課金を、規模に応じて使い分ける

同じ機能のアプリでも、料金が固定額か従量課金かで、自社の規模では総額が逆転します。どちらが得かは、いまの注文数で決まります。2つの違いを整理すると、次のようになります。

評価項目固定額従量課金
請求の動き使っても使わなくても同額使った分だけ増える
小規模なとき割高に感じやすい安く収まる
規模が伸びたとき1件あたりが割安に効く総額が積み上がる
読みやすさ来月の額が確定している件数次第で変動する

分かれ目になるのは注文数です。月の注文数が数百件あたりまでは、従量課金のほうが安く収まることが多いです。一方、注文が増えて手作業の出荷が厳しくなり始めるのも、このあたりの規模からです。判断に迷ったら、いまの単価ではなく「注文が今の倍になった月」の請求額を出して、固定額のプランと並べてみてください。その時点で逆転しているなら、伸びる前に乗り換えを考える材料になります。

固定額か従量課金かは、安いほうを選ぶのではなく、自社の注文規模で総額が安くなるほうを選びます。規模が変わる節目では、選び直す前提で見ておくといいです。

「標準で足りるか/統合できるか/従量で膨らまないか」を自社だけで判断するのは、意外と手間がかかります。いまの構成が最適かどうか、一度第三者の目を入れてみるのも手です。Raboでは、アプリ構成の見直しからご相談を受けています。

4.まとめ:今のアプリ構成を、この順で点検する

虫メガネと光と影

記事を閉じる前に、Shopifyの管理画面を開いてみてください。請求の一覧と、入れているアプリの一覧。この2つを並べるだけで、今から挙げる4つの確認はその場でできます。

① 使っていないのに、課金されているアプリはないか

まず、入れたまま動かしていないアプリを探します。過去のキャンペーンで入れたもの、担当者の引き継ぎで忘れられたもの。使っていなくても、解約していなければ請求は止まっていません。心当たりがなくても、明細をなぞると「これ、まだ入っていた」が出てきます。

② 機能が重なっているアプリはないか

次に、役割の近いアプリが並んでいないかを見ます。フォームとレビュー、チャットとメール配信のように、隣り合った機能はどこかが重なりがちです。重なりがあれば、片方に寄せられないかを検討します。

③ 標準・テーマで賄えるものを、払っていないか

アプリで入れている機能のうち、テーマや標準で対応できるものがないかを確認します。関連商品の表示やカゴ落ちメール、割引機能のあたりは、本体やテーマ側で対応できることが多い部分です。賄えるなら、そのアプリは止められます。

④ 従量課金のアプリを、洗い出したか

最後に、入れているアプリのうち従量課金のものを洗い出します。注文やメール配信の件数で請求が変わるタイプは、いまの請求額だけ見ても安心できません。これから注文を伸ばすつもりなら、ここで拾い出したアプリを、後で固定額と比べる候補として印をつけておきます。

この4つは、どれも数分で確かめられます。月に一度、あるいは四半期に一度、この順で見直す習慣にしておくと、ランニングコストが知らぬ間に膨らむ前に手を打てます。

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