Shopifyのカゴ落ち対策|メール自動配信と改善施策

Shopifyのカゴ落ち対策|メール自動配信と改善施策
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カートに商品を入れたのに、購入を完了しないまま離れてしまう。これがカゴ落ちです。Baymard Instituteの2025年の集計では、カートに入れた買い物客のうち約7割(70.19%)が購入に至らないとされています(出典:Baymard Institute)。裏を返せば、新しい集客を増やさなくても、いま来ている買い物客の離脱を減らすだけで売上が伸びる余地が残っているということです。本記事では、離脱した人をメールで呼び戻す「取り戻す」側と、そもそもの離脱を店舗側の設定で減らす「減らす」側の2軸で、Shopifyストアでできる対策を整理します。

1.カゴ落ちの現状と原因を把握する

カゴ落ちの現状と原因を把握する

対策の前に、自店の数字と離脱の原因という2つの現状を押さえておきます。外部の平均値は目安になりますが、打ち手の優先順位は自店の実態から決まります。

1-1. 自店のカゴ落ち率と機会損失を把握する

打ち手を選ぶ前に、まず自店のカゴ落ち率を測ります。世界平均の約7割は入り口の目安で、扱う商材や価格帯によって実際の数字は大きく変わります。

自店の状況は、Shopifyの2か所から確認します。率は、ストア分析のコンバージョンファネル(カート追加から購入までの推移)で追えます。件数は、[注文管理]>[チェックアウト離脱]の一覧で見られます。なお、Shopifyはカートに入れただけ(チェックアウトを開始していない)の離脱を件数として数えないため、純粋な「カゴ落ち」件数が単独で出るわけではない点は踏まえておきます。

率が見えると、失っている売上の大きさも見当がつきます。自店の月間離脱件数に平均客単価を掛ければ、取り戻せる売上の上限を金額で把握できます。

自店の率と失っている金額を月次で把握しておけば、次に見る「なぜ落ちるか」と照らし合わせて、費用・決済・手間のどこから改善するかを判断できます。

1-2. 離脱を招く主な原因の型

買い物客が離脱する理由は、費用・決済・手間の3つの系統に整理できます。この3つのどこにつまずきがあるかを見れば、自店の弱点の当たりがつけられます。

費用系は、進んだ先で送料や税が上乗せされ、想定より高くなって離れるケースです。Baymardの調査では、想定外の追加コスト(送料・税など)が離脱理由の最上位で、約48%を占めます。手間系は、会員登録やアカウント作成を求められて面倒になる離脱で、これも上位です(アカウント作成の要求で約26%)。決済系は、使いたい支払い手段が用意されていないための離脱です。

この3系統は、実際には重なって起きることも多いものです。送料が高いうえに会員登録も必要、といった具合に、ひとつの離脱に複数の理由が絡みます。だからこそ原因を型で持っておくと、自店のチェックアウト画面を見直すときに、どの系統でつまずかせているかを切り分けやすくなります。

2.カゴ落ちメール自動配信で離脱顧客を呼び戻す

Shopifyのカゴ落ち対策|メール自動配信と改善施策

離脱した買い物客に、あとから購入を思い出してもらう。Shopifyには、これを自動で行う機能が標準で備わっています。まずは追加費用なしで使える標準機能の設定と、その対象範囲から押さえます。

2-1. 標準機能でチェックアウト離脱メールを自動化する

チェックアウト離脱メールは、管理画面の[マーケティング]>[オートメーション]>[チェックアウト離脱]から設定できます。この新しい方式は、Basic以上の有料プランで利用できます。

この自動メールが機能するのはオンラインストアと購入ボタンのチャネルに限られます。POSやShopアプリ、外部チャネル経由の離脱は対象外です送れる相手も、チェックアウトの途中でメールアドレスを入力した離脱者に限られます。連絡先に電話番号を選んだ人や、メール送信前に購入を完了した場合などは対象外です。 送れる相手も、チェックアウトの途中でメールアドレスを入力した離脱者に限られます。

連絡方法に電話番号を選んだ人、在庫切れや配送対象外だった注文、メール送信前に購入を完了した離脱には、そもそも送られません。ボットや不正なカード試行(カードテスティング)と判定された試行も、離脱の一覧から除かれます。

初期設定では宛先が「マーケティングに登録した相手のみ」になっています。「すべてのお客様」に広げることもできますが、広げない限り未登録の離脱者には届きません。 どこまで広げるかは、広告・宣伝メールの同意の扱いと合わせて決めるのが安全です。

なお、チェックアウト離脱の自動メールは、Shopifyの標準メッセージ送信枠(Shopify Messaging)のカウントに含まれません。 通数を気にせず使える点は、標準機能の利点です。

標準機能は無料で使える一方、拾えるのはメールアドレスを残した離脱者に限られます。この対象範囲が、標準メールで取り戻せる相手の上限です。

2-2. 送信タイミングと件名で開封率を上げる

いつ送るかは、開封のされやすさを左右します。デフォルトの送信タイミングは離脱の10時間後で、待機時間は変更できます。Shopifyヘルプセンターによると、1時間後または10時間後に購入が再開されやすいとされています(出典:Shopifyヘルプセンター「チェックアウト離脱を回復する」)。

早すぎれば「まだ検討中」の相手をせかす形になり、遅すぎれば購入意欲が冷めます。1時間後は購入意欲が残っている段階で再訪を促す設計、10時間後は一度離れて落ち着いたころに購入を思い出してもらう設計と、ねらいが分かれます。 自店の商材が即決型か比較検討型かで、どちらが合うかを選べます。

届いても開かれなければ意味がないため、件名は具体的に書きます。「カートの商品が残っています」のように何のメールかが一目で分かる形にし、送料無料ラインまであといくら、といった購入を後押しする情報を添えると開かれやすくなります。

回復率の目安は媒体各社が公表していますが、調査対象や配信設計で大きく幅が出るため、単一の定番値はありません。他店の数字ではなく、自店の実測を基準に見るのが前提です。タイミングは自店の商材に合わせて選び、件名は中身が一目で分かる具体的な言葉で書く。まずはこの2つで、標準メールの開封と回復を伸ばせます。

2-3. 外部アプリでできること

外部アプリの役割は、標準機能の置き換えではなく、上乗せです。標準の自動メール1通では届かない範囲を、多段の配信やメール以外の経路で埋めるのがアプリの領分です。

たとえば、1通で反応がなかった相手に日を空けて2通目・3通目を送る多段のステップ配信、メールを開かない層に向けたSMSやLINEでの通知、「高額カート」「初回か再訪か」といった条件で送り分けるセグメント配信、件名や文面を出し分けて反応を比べるA/Bテストなどが挙げられます。

まだ標準の自動メールを設定したばかりの段階では、アプリを足す前に件名やタイミングの調整を優先してください。調整で回復件数を伸ばせる余地のほうが大きいことも多いためです。

標準で拾いきれない離脱を、経路とタイミングを増やして追いかけるのがアプリの使いどころです。導入を検討する際は、月額費用と回収見込みを自店の離脱件数に照らして、費用対効果を確認してください。

3.メール以外でカゴ落ち自体を減らす店舗側の改善

送料や決済を見直してカゴ落ちを減らすチェックアウト改善のイメージ

メールは離れた人を追いかける手ですが、そもそも離れさせない設定も、同じくらい売上を左右します。ここからは、費用・決済・手間の3系統それぞれで、チェックアウトのどこをどう変えるかを見ていきます。

3-1. 費用|送料と合計金額を早い段階で見せる

費用系の離脱を抑える要は、進む前に総額の見当がつく状態をつくることです。最後の確認画面で送料が乗って初めて総額が分かる作りだと、そこで手が止まります。カートや商品ページの段階で、かかる費用が見えるようにします。

Shopifyの標準機能では、送料を地域別・金額別・重量別に条件設定できます。「一定額以上で送料無料」のラインもここで決められます。ラインを設けておくと、送料そのものを理由にした離脱を減らせるうえ、無料まであといくらかを示せば買い足しのきっかけにもなります(「あといくら」の告知表示はテーマやアプリによって異なります)。

数字を見せる位置でも、受け取られ方は変わります。同じ送料でも、カート画面で先に提示されていれば「そういうものか」と受け止められますが、最終画面で急に増えると割高に感じられます。金額そのものより、いつ見えるかで印象が変わります。

送料の条件を整え、総額を早い段階で見せておけば、費用を理由にした離脱の入り口をふさげます。

3-2. 決済|支払い方法の選択肢と安心材料をそろえる

決済系でまず見るのは、買い物客が使いたい手段がそろっているかです。Shopifyペイメントで、クレジットカード・Apple Pay・Google Pay・Shop Payに対応できます。日本のストアでは、決済代行サービスを通じてコンビニ決済や後払いサービスも加えられます。

支払い手段の不足は、そのまま離脱に直結します。なお、日本のShopifyストアでは、Amazon Payは2025年1月6日以降利用できないため、現行の選択肢には含めません(米国ストアはShopifyペイメント経由で提供が続きます)。

手段をそろえたら、安心して支払える表示も添えます。決済画面が保護されていることや、対応している支払いブランドのロゴが見えるだけでも、初めての店で決済を進める心理的なハードルは下がります。ここで添えるのは決済まわりの安心材料に絞り、返品や配送の説明まで盛り込まないほうが、画面の情報がぶれずに済みます。

使える手段をそろえ、決済画面に安全性の表示を添えれば、支払い直前で止まっていた買い物客を通せます。手段を増やすと決済手数料の設計も変わるため、導入時は費用面もあわせて見ておくと安心です。

3-3. 手間|入力項目を減らしゲスト購入を用意する

最後の系統は、購入までの手数です。入力欄が多い、会員登録を求められる——この2つが重なると、買う気があった人でも離れます。減らせる手間から順に外していきます。

効果が大きいのは、会員登録を必須にしないことです。ゲスト購入を用意しておけば、登録の手間を理由にした離脱を避けられます。入力項目も、注文に必要な範囲まで絞ると、フォームを進む負担が軽くなります。ブラウザのオートコンプリートに対応しておくと入力そのものを減らせます(郵便番号からの住所補完は、テーマやアプリによって対応が分かれます)。

スマホで買う人ほど、この手間は響きます。小さな画面で長いフォームを入力するのは負担が大きく、途中で離脱されやすくなります。 入力の一つひとつが、離脱の分かれ目になり得ます。

手間を減らす対策は、費用をかけずに始められるものが多いのが特徴です。ゲスト購入の用意と入力項目の見直しは今日からでも着手でき、費用・決済・手間の3系統のなかで最初に取り組む系統の候補になります。

4.よくある質問(FAQ)

カゴ落ちメール運用のよくある質問をまとめたQ&Aのイメージ

Q. カゴ落ちメールの回収率は、どのくらい見込めますか。

A. Shopify公式からは、回収率の標準値は示されていません。 媒体各社が出している数字はありますが、調査対象や配信設計で幅が出るため、そのまま自店の見込みには使えません。現実的なのは、まず数週間から数ヶ月配信して自店の実測値を出し、それを基準にすることです。他店の数字は、自店の実測が出るまでの仮置きと考えておくと判断を誤りません。

Q. メール配信で守るべき法律や、同意の扱いはどうなりますか。

広告・宣伝を含むメールは、特定電子メール法(迷惑メール規制法)のオプトイン規制の対象で、送信前に受信者の同意が必要です。 購入時や登録時にアドレスを取得していても、広告・宣伝メールへの同意が別途なければ送れない点に注意します(取引関係にある相手など、一部例外はあります)。表示が求められる主な項目は、送信者の氏名または名称、受信を拒否できる旨とその通知先、苦情・問い合わせを受け付ける住所・電話番号・メールアドレスなどの連絡先です。カゴ落ちメールに割引などの宣伝要素を強く入れるほど広告メールの性格が強まるため、同意の取り方は自店の運用に合わせて確認しておくのが安全です。

Q. カゴ落ちメールに割引を付けると、通常のお客さままで割引待ちになりませんか。

その懸念はあります。毎回同じ割引を全員に送ると、「離脱すれば安くなる」と学習されるおそれがあります。避けるには、割引を常用しない、送る相手や条件を絞る、金額ではなく送料無料や在庫残りわずかの告知など割引以外の後押しを使う、といった打ち手があります。まずは割引なしの文面で回収率を測り、伸び悩む場合に条件を絞って割引を試す順番が無難です。

5.まとめ

カゴ落ち対策の要点を振り返るまとめのイメージ

カゴ落ち対策は、離れた人をメールで「取り戻す」施策と、そもそもの離脱を店舗側の設定で「減らす」施策の両輪で考えます。どちらから手を付けるかは、自店のどこで落ちているかによって変わります。費用でつまずいているのか、決済の選択肢が足りないのか、入力の手間なのか——原因の系統が違えば、有効な打ち手も違うためです。

出発点は、自店のカゴ落ち率を測ることです。数字が見えれば、失っている売上の規模も、優先して直すべき系統も判断できます。まずは自店の現状を数字で把握するところから始めてみてください。

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