楽天・Amazon出店 vs Shopify自社EC|メリット・デメリット比較

楽天・Amazon出店 vs Shopify自社EC|メリット・デメリット比較
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「結局、うちはどちらがいいんだろう」——出店先を選ぶとき、多くの店舗運営者がここで迷います。楽天やAmazonのようなモールに出すのか、Shopifyで自社ECを立てるのか。一見すると料金や機能の比較に見えますが、その手前に大きな分かれ道があります。集客や顧客を「借りる」のか、「自社で持つ」のか、という違いです。この記事では、その軸でモールと自社ECの違いを整理し、コスト・集客・顧客・ブランドの項目別に比較したうえで、自社にどちらが向くかを判断する3つの軸を示します。なお、ひとくちにモールといっても楽天とAmazonでは挙動が割れる場面があり、そこは分けて見ていきます。

1.モールに出せば売れるが、顧客は自社の資産にならない

モール出店と自社ECの違いをテナントと土地で表す分かれ道のイメージ

モール出店と自社ECの違いは、たとえるなら「商業施設にテナントで入るか、自分の土地に店を建てるか」に近いものです。どちらも店を開く点は同じでも、売り場と顧客が誰のものとして残るかが変わります。まずはこの2つの形を、それぞれ見ていきます。

1-1. 集客も販売の場も「借りる」のがモール出店

モール出店は、すでに買い物客が集まっている売り場と、検索や決済の仕組みをまるごと借りて、その上に自分の店を出す形です。商業施設にテナントとして入るのに近い感覚です。

集客の導線も、商品を見つけてもらう検索も、お金を受け取る決済も、モール側が用意したものを使わせてもらいます。だから出店した初日から、ある程度の人の目に触れる状態でスタートできます。

その代わり、借りている以上は使用料とルールがついてきます。出店料、売れたときの手数料、ページの作り方や送客の制限といった形で、モールが決めた枠の中で運営する前提になります。

集まっている人の流れにすぐ乗れる代わりに、売り場そのものは借り物だという構造です。なお同じ「借りる」でも、楽天とAmazonでは借りられる範囲がかなり違います。

1-2. 顧客とブランドを「自社で持つ」のが自社EC

自社EC(Shopify)は、売り場も、来てくれた顧客の情報も、ブランドの見せ方も、自社の側に置く形です。借り物のテナントではなく、自分の土地に自分の店を建てるイメージに近くなります。

ドメイン、サイトのデザイン、顧客リスト、購入後のやりとりまで、運営の主導権が自社にあります。立ち上げの手間はかかりますが、積み上げたものは自社の資産として手元に残ります。

ただし「自社で持つ=手数料ゼロ」ではありません。Shopifyの決済機能であるShopify Paymentsを使っても、カード決済にかかる手数料は発生します。お金の流れまで完全に無料で抱えられるわけではない、という点は押さえておく必要があります(具体的な料率は次章のコスト構造で扱います)。

集客を自分で作る必要があるのは裏返しの負担です。その代わり、顧客との関係を資産として育てられるます。これが、自社ECで持つことの中身になります。

2.コスト・集客・顧客・ブランドを項目別に比較する

出店先のコストを固定費と変動費の観点で比較するチェックリストのイメージ

「借りる/持つ」という違いは、実際の運営では4つの具体的な項目に表れます。お金のかかり方、人の集め方、顧客情報の残り方、ブランドの見せ方です。この4点を並べると、自社にとってどちらが向くかの判断材料が揃います。

2-1. コスト構造|出店時の固定費と、売れたときの手数料

コストは「出店した時点でかかる固定費」と「売れたときにかかる変動費」の2層に分けて見ると、楽天・Amazon・Shopifyそれぞれの負担のかかり方がはっきりします。

固定費は月額や初期費用、変動費は販売手数料や決済手数料です。この2つの比率が、三者で大きく違います。

楽天は初期費用60,000円に加え、月額が3プランに分かれます。

がんばれ!プラン:月額25,000円

スタンダードプラン:月額65,000円

メガショッププラン:月額130,000円

これに加えて売上に応じたシステム利用料、ポイント原資1.0%などがかかり、出店には審査もあります。

※参考:楽天公式「出店プランと費用」

Amazonは大口出品が月額4,900円(成約料なし)、小口出品が1商品あたり100円で、初期費用はありません。販売手数料はカテゴリによって幅があり、多くのカテゴリでおおむね8〜15%程度です。ただしカテゴリや単価によってこの範囲を下回る・上回る場合があります。

※参考:Amazon公式 料金ページ

Shopifyは初期費用なしで、Basicが月額4,850円(年払いなら月3,650円)、Growが月13,500円です。決済にShopify Paymentsを使えば外部サービスの取引手数料はかからず、カード決済手数料のみが発生します。PayPalやコンビニ決済などの外部決済を使う場合は、プラン別の取引手数料がBasic 2.0%/Grow 1.0%/Advanced 0.6%で別途かかります。

※参考:Shopify公式 料金ページ(日本)

※金額はいずれも税別です。Shopifyの円建て価格は為替の影響で改定される場合があります。

楽天は月額が先に立ち、Amazonは小口なら月額ゼロから売上連動で始められ、Shopifyも売上連動の比重が大きい構造です。固定費をどこまで先に背負えるかで、最初の入りやすさが変わってきます。

2-2. 集客力|モールの流入数と検索露出の実態

集客力がモールと自社ECの最大の分かれ目です。モールは既にある集客基盤に乗れる一方、自社ECは流入を自分で作る前提になります。

楽天やAmazonには、モール内検索、特集、ポイント経済圏を通じて買い物客が日常的に出入りしています。出店すれば、その人の流れの一部が初期から自店にも向きます。

ただしモール内では同じカテゴリの競合と横並びになり、上位露出は広告やランキング次第になりやすいのが実態です。「人は来るが、自店が選ばれるとは限らない」という競争がモールの中にあります。

自社ECはその逆で、SEO・SNS・広告を自前で回して流入経路を一から作る必要があります。立ち上がりは遅いものの、どの経路から客を呼ぶかを自社で設計できます。

2-3. 顧客データ|自社の資産にして、プラットフォーム外で使えるか

顧客データの違いは「リピートが起きるかどうか」ではありません。リピート自体は楽天ポイントやAmazonの定期おトク便でも起こります。違いは、顧客データを自社の資産として持ち、プラットフォームの外でCRM(顧客との関係づくり)に使えるかどうかです。

楽天では、発送に必要な氏名・住所などは取得できます。ただしメールアドレスは暗号化されており、ショップ側が実際のアドレスを参照することはできません。Amazonは出荷をAmazonに任せるFBA(Amazonが在庫保管・発送を代行するサービス)が中心で、顧客データはほぼ開示されません。

いずれも顧客データを自社のリストとして外部で活用することには制限があります。モール内で完結する関係づくりはできても、メールやLINEといった自社のチャネルで顧客に直接つながり続けることは難しい、ということです。

自社ECなら、メールアドレスや購買履歴を自社で保持し、プラットフォームの外で継続的に顧客と関係を築けます。顧客データを資産として手元に残せるかどうかが、モールと自社ECの大きな違いです。

2-4. ブランディング|楽天は作り込める、Amazonは商品ページ中心

同じモールでも、ブランドの見せ方の自由度は楽天とAmazonで大きく違います。楽天は店舗ページを作り込めますが、Amazonは商品ページが中心です。

楽天はR-Storefrontなどで店舗デザインや特集ページを組み立てられ、世界観をある程度まで表現できます。一方Amazonはカタログ型で、同じ商品は同じページに集約される構造のため、ブランド独自のページは作りにくくなっています。

楽天の店舗ページを丁寧に作っても、その作り込みは楽天というモールの枠の中での表現にとどまります。Amazonに至っては、商品が並ぶ場所の見た目はほぼ共通で、何で差をつけるかが価格やレビューに寄りがちです。

自社ECは、独自ドメインとテーマでサイト全体を設計でき、トップから商品ページ、購入後の画面まで一貫した世界観を作れます。ブランドをどこまで自分の形で見せたいかを基準に、モール・自社EC・併用のいずれかを選んでください。

3.自社にどちらが向くかは、フェーズ・商材・目的で決まる

事業フェーズと商材から出店先の向き不向きを判断する道標のイメージ

ここまでの比較を踏まえても、「自社はどちらが向くか」の答えは一つに決まりません。同じ項目で比べても、向く選択肢は事業の状況によって入れ替わります。判断の軸になるのが、事業フェーズ・商材の性質・出店の目的の3つです。自社の状況をそれぞれの軸に照らしながら読んでみてください。

3-1. 認知を広げる段階か、育てる段階か

立ち上げ直後のストアが最初にぶつかるのは「誰にも知られていない」状態です。この段階では、人がすでに集まっている場所に出るほうが、出会いの数を早く稼げます。すでに買ってくれた顧客がいて、その人たちともう一度つながりたい段階に入ると、今度は顧客情報を手元に残せる場の価値が上がってきます。

認知ゼロの状態で自社ECを立てても、最初は訪れる人がいません。逆に、リピート前提の関係を作りたいのにモールに依存していると、顧客とつながり続ける手段が限られます。

今の自社が、見つけてもらう局面にいるのか、育てる局面にいるのか。そこで重心の置き先が変わります。

3-2. 繰り返し買われる商材ほど、顧客を持つ価値が高い

サプリや化粧品のように使い切って買い足す商材は、二度目以降にどれだけつながれるかで売上が積み上がります。こうした繰り返し買われる商材では、一度つかんだ顧客と関係を作り続ける投資が回収しやすく、顧客を自社で持つ価値が高くなります。

家具や記念品のように購入頻度が低い商材は、事情が変わります。関係づくりより、新しい客と出会う数のほうが効くため、集客力のあるモールが向きやすくなります。

単価と購入頻度を自社の商材に当てはめると、関係づくりに投資すべきか、出会いの数を取りにいくべきかの見当がつきます。

3-3. 急ぎの売上か、続く関係か

すぐに売上が必要な状況では、集客基盤に乗れるモールのほうが反応が出るまでが早く、出してすぐ反応が見込めます。時間をかけてLTV(顧客生涯価値)を伸ばしたいなら、顧客資産を積める自社ECがあとから効いてきます。

短期の売上と長期の資産は、どちらかが正解というものではありません。時間軸の置き方しだいで、同じ事業でも答えが変わります。半年後に結果が必要な状況ならモールから入り、3年かけて土台を築くなら自社ECへ先行投資する判断が現実的です。

優先するのが速さか積み上げかをフェーズと商材の判断に重ねると、選ぶ先がはっきりします。

4.モールと自社ECを併用する場合のコツと注意点

モール購入者を自社ECへ送客する併用の流れを表す矢印のイメージ

ここまで「どちらか」を軸に見てきましたが、実際には両方を使う選択肢もあります。モールの集客力で広く接点を作り、自社ECで関係を深める、役割を分けた併用です。ただし、やり方を誤ると規約に触れたり、運用が両方とも中途半端になったりします。

4-1. モール購入者を自社ECへ呼び込む同梱物・特典の活用

併用の現実的な入口は、モールで作った広い接点を、同梱物や特典を使って自社ECへつなぐ形です。

モールには人が集まっているので、まずそこで接点の数を増やします。その購入者に自社ECへ再訪する理由を提示することで、集客はモール・関係づくりは自社、という分担が成り立ちます。

商品に同梱するカードやチラシで自社ECの存在を知らせたり、自社ECだけの限定品や会員特典で再訪の理由を作ったり、という打ち手があります。届いた箱を開けた間が、次の接点を作る数少ないタイミングになります。

モールで出会い、自社ECで続ける。この送客がうまく回ると、両方の強みを片方ずつ取りにいけます。ただし、この送客はモールの規約の範囲内で行う必要があります。

4-2. 併用が裏目に出る規約違反とリソース分散のリスク

送客のやり方を誤ると、モールの規約違反になりかねません。さらに、両方を回そうとして運用リソースが分散し、どちらも中途半端になるリスクもあります。

モールは、自社が集めた顧客をそのまま外へ連れ出す行為に制限をかけている場合があります。同梱物での告知や顧客情報の使い方について、どこまでが許容範囲かはモールごとに異なります。

規約の問題をクリアしても、運用の負担は二重になります。在庫、受注、問い合わせ対応、ページ更新を二つの場所で人員や運用体制が整っていないうちは、どちらも十分に回しきれません。

併用は両取りに見えますが、規約と運用体制の両面で前提条件があります。まずモール出店に集中し、運用が安定してから自社ECを加える順番が現実的です。

5.まとめ

Shopify自社ECとモールの出店先選びを整理したゴールのイメージ

出店先選びは、どちらが優れているかではなく、自社が何を手元に残したいかで決まります。集客や顧客を借りてすぐ売り場に立つのがモール、手間をかけて顧客とブランドを抱えるのが自社EC。その違いが、コスト・集客・顧客データ・ブランドの4項目に表れます。

判断の起点になるのは、事業フェーズ・商材・目的の3つです。まず見つけてほしい段階なら集客基盤に乗れるモールが、買ってくれた人を育てたい段階なら顧客資産を積める自社ECが効いてきます。そして、両方を役割分担で使う併用も選択肢に入ります。

自社が今どのフェーズにいて、何を売り、何を優先するのかを整理したうえで、出店先を選んでください。判断に迷う場合は、Raboの無料相談で個別に確認することをおすすめします。

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