TikTok広告のターゲティング設計|広さ・最適化シグナル・予算集約とSmart+の使い方

TikTok広告のターゲティング設計|広さ・最適化シグナル・予算集約とSmart+の使い方
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TikTok広告の配信ボタンを押す前、ターゲティングの画面で手が止まる。この興味関心も足したほうがいいのか、年齢はもっと絞るべきか。買ってくれそうな人だけに届けたくて、条件を一つ、また一つと重ねていく。ところが、丁寧に絞り込んだ配信ほど、成果が伸び悩むことがあります。

ほとんどの広告主にとって、TikTokの配信は、人の手で細かく絞るより、アルゴリズムに任せたほうが成果につながります。もちろん、動かせない前提や検証したい仮説があれば、手動で絞る場面もあります。設計の軸になるのは、配信対象の広さ、アルゴリズムの元となる情報(シグナル)、広告セットと予算の構造の三つ。この広さを成果に変える前提がクリエイティブで、誰に届けないか(除外)の線引きとあわせて、人が決めます。自動化(Smart+)に任せる場合まで含めて、順に整理します。

1.手動で絞り込むとアルゴリズムの学習が止まり成果が落ちる

1.手動で絞り込むとアルゴリズムの学習が止まり成果が落ちるイメージ画像

出稿して数日、費用は伸びるのに獲得が増えない。無駄打ちを減らそうと、年齢も興味関心も行動履歴も重ねていく。すると配信量は落ち、獲得単価はむしろ上がっていきます。Raboに届く相談でも、この「絞ったのに悪化した」流れはよく見られます。

原因は、絞り込みそのものにあります。TikTokの配信は、成果データがたまって初めて安定します。配信の初期、アルゴリズムは誰が成果につながるかをまだ知りません。判断の材料は、実際に発生したコンバージョン(購入・カート追加などのイベント)です。対象を狭めると、この材料が集まる速度が落ち、学習が進まないまま費用だけが出ていきます。

同じ予算でも、狭く配信すると成果の発生が遅くなります。広く配信していれば数日で集まる件数が、狭い設定では二週間かけても届かないことがあります。

TikTokの公式データも、広めの配信をすすめています。国内の対象ユーザーの8割を超える広さで届く広告は、狭い配信に比べて、平均で獲得単価が15%低く、コンバージョン率が20%高い、と示されています(TikTok広告 ターゲティングのベストプラクティス(英語))

無駄打ちを避けたい設定が、かえって成果データを細らせ、獲得単価を押し上げる。まずは、いまの設定がどこまで絞り込まれているかを見直すところが出発点になります。

2.手動の絞り込みを最小限にとどめて配信対象を広く置く

2.手動の絞り込みを最小限にとどめて配信対象を広く置く

配信対象を広く置くとはいえ、すべての条件を野放しにする話ではありません。手動で触ってよい条件と、任せる条件があります。その線引きを整理したうえで、広げた先で成果を左右するクリエイティブに触れます。

2-1. 興味関心・行動|掛け合わせず絞りすぎない

買いそうな層に近づけようと、興味関心も行動も年齢も、と条件を重ねていく。ところが、重ねるほど配信対象はかえって痩せ、学習の前に届く相手が尽きてしまいます。

狭まるのは、軸をまたいで重ねたときです。興味関心に行動、さらに年齢や地域と重ねるほど、対象は掛け算で減ります。一つの軸で半分になるなら、三つ重ねた時点で元の八分の一です。反対に、同じ興味関心の中で複数のカテゴリを選ぶのは足し合わせる指定で、対象はむしろ広がります。公式も、興味関心は複数の具体的なカテゴリを選ぶことをすすめています(TikTok広告 興味関心ターゲティングについて(英語))

興味関心行動は、選ぶ軸が違います。興味関心は、そのジャンルの動画を長く好んで見てきた人。行動は、直近に特定の操作をした人です。長期の嗜好で広く当てるなら興味関心、直近の動きを拾うなら行動、と使い分けます。まずは母数の取りやすい興味関心から始めるのが扱いやすい形です。

TikTokには、設定を自動で補うスマートターゲティングがあります。興味関心・行動を指定すると、この機能は既定でオンになり、成果の改善が見込めるときに、設定の外側へも配信を広げます(TikTok広告 スマートターゲティングについて(英語))。ただし年齢・性別・地域や、除外した相手には広げません。一方、カスタム・類似などの名簿側では、この自動拡張は既定でオフです(TikTok広告 スマートターゲティングの使い方(英語))。手動の指定は出発点にすぎないので、最初から狭く囲い込む必要はありません。

動かしにくい条件は、最初から除外指定して構いません。配送できない地域、明らかに対象外の年齢層といった、後から広げても意味のない枠です。ここを外しても学習の妨げになりにくく、むしろ無駄な配信を減らします。絞ってよいのは動かせない前提、絞ってはいけないのは買いそうかどうかの読みです。

2-2. 配信対象の広さ|オーディエンスサイズ推定で狭すぎを避ける

オーディエンスサイズ推定のUI

オーディエンスサイズ推定は、指定したターゲティング条件と配信面、過去30日間に広告が表示されたユーザー数をもとに、届きうる対象の規模を見積もる指標です(TikTok広告 オーディエンスサイズ推定について(英語))。実際に届く人数(リーチ)の予測ではなく、ターゲティングの絞り具合を測る目安です。

なお、カスタムオーディエンスを使う場合は、opt-in状況・年齢・地域などを加味した「Available Audience」の推定が別に表示されます(TikTok広告 カスタムオーディエンスについて(英語))

この推定は、条件を足すほど狭い側へ動きます。使い方は単純で、狭すぎの表示が出たら、直前に足した条件を戻します。画面上では、広い側で「条件の追加を検討」と促されることもあります。ただし本記事は、広い配信のほうが成果が出やすいという公式データを重く見て、狭すぎを避けることを主眼に置きます。

この確認の利点は、費用を使う前に手を打てる点です。配信の不調は、数日出稿してからでないと数字に表れません。推定なら、出稿ボタンを押す前に、狭すぎのサインを画面上で拾えます。

2-3. クリエイティブ|広く配信するほど成果を分ける

配信対象を広げると、誰に当たるかの調整はアルゴリズムに移ります。同じ広さでも、最初の数秒で目を止められるかどうかが成果を出すために重要になります。

狭く絞るほど、同じ人への表示が増え、クリエイティブは早く飽きられます。公式でも、狭すぎる設定は学習を抜けにくくし、クリエイティブの疲弊を招きやすいとされています(TikTok広告 ターゲティングのベストプラクティス(英語))広く置く設計は、反応を取れる動画がそろって初めて成立します。

3.最適化イベントとカスタム・類似オーディエンスでアルゴリズムに学習させる

3.最適化イベントとカスタム・類似オーディエンスでアルゴリズムに学習させる

広く配信するだけでは、アルゴリズムはどんな人を探せばいいのか決めきれません。絞り込む代わりに渡せるシグナルが二種類あります。一つは狙うゴールを教える最適化イベント、もう一つは種になる名簿を渡すカスタム・類似オーディエンスです。層が違うので、競合せず重ねられます。例として、4,000円前後のスキンケアを扱う小規模な自社ECを用いて解説します。(リピーターが一定数いるお店とします。)

3-1. 最適化イベント|狙う成果をアルゴリズムに教える

最初に決めるのは、何を成果とするかです。アルゴリズムは、指定した成果を起こしやすい人を予測して配信します。同じお店でも、購入を成果に置くか、手前のカート追加に置くかで、配信の向かう先は変わります。

材料になるのは、サイト上で実際にその行動をした人の挙動です。指定した行動が多く発生するほど、予測の精度は上がります。名簿がなくても働くシグナルで、すべてのキャンペーンの主軸になります。

選ぶ基準は、その成果が学習の期間内にどれだけたまるかです。配信を始めてからの数日で、成果が約25件に達すると振れ幅が落ち着き始めます(TikTok広告 学習期間について(英語))。学習を抜けたと判断できる最も有力な目安は、50件の達成です(TikTok広告 学習期間のよくある質問(英語))。購入がこの水準に届くお店なら、購入で最適化して狙いを絞れます。届かないお店は、購入だけでは材料が足りません。

その場合は、手前のカート追加を成果に置きます。発生件数が増えるぶん、学習は進みやすくなります。ただしカートで止まる人も含むため、狙いは購入より緩くなります。まず件数の出るイベントで回し、購入の件数が育ってから購入へ移す。頻繁に付け替えると学習が安定しにくいので、切り替えは慎重に行います。

どのイベントを選ぶにしても、その行動が正しく計測できていることが土台です。ピクセルやイベントの設定が抜けていると、成果が起きてもアルゴリズムに届きません。手前で、計測が通っているかを確かめます。

3-2. カスタム・類似オーディエンス|良い顧客を起点に学習させる

もう一つのシグナルは、アルゴリズムへ渡す名簿です。最適化イベントがサイト上の行動を材料にするのに対し、こちらは手元の顧客データそのものを種にします。既に買ってくれた顧客の名簿を登録し、そこから似た層へ広げます

顧客名簿は、現に買った人の集まりです。興味関心の推測より、確かな出発点になります。

スキンケアのお店なら、まずリピーターの名簿からカスタムオーディエンスを作ります。それを種に類似オーディエンスを生成し、一致度の幅で、種に近い層か、リーチの取れる層かを選びます。

種に入れるのは、増やしたい人だけです。繰り返し買っている人、購入額の大きい人、直近で買った人あたりを目安に選びます。一度きりで戻らない層や、割引のときだけ買う層は、増やしても採算に乗りにくいので外します。

使うには下限もあり、カスタムオーディエンスを広告グループで使うには、照合済みユーザーが1,000人以上必要です(TikTok広告 カスタムオーディエンスについて(英語))。名簿が小さい立ち上げ期は、この人数に届かないことがあります。

最適化イベントが行動からゴールを教えるもの、カスタム・類似が名簿を種として渡すもの。名簿を持っているお店ほど、両方を重ねられます。

4.広告セットを分けすぎず予算を集約すれば配信は安定する

4.広告セットを分けすぎず予算を集約すれば配信は安定する

同じ予算でも、広告セットの分け方しだいで、学習を抜けられるかどうかが変わります。分けるほど良さそうに見えて、実は集約したほうが安定します。

4-1. 予算集約|学習を抜ける分を1つの広告セットに確保する

広告セットが学習を抜けるには、まとまった成果が要ります。そのための予算の目安も、公式に示されています。

カート追加や購入といった深いコンバージョンでは、広告グループの日予算を、直近の獲得単価(現在のCPA)の10倍に置くのが推奨です(TikTok広告 予算のベストプラクティス(英語))。まだ実績のCPAがなければ、200USD相当が下限の目安で、立ち上げ期はこの額から始めます。

この予算を分散させると、学習が進みません。日予算は広告グループごとに設定するもので、セットを三つに割れば、必要な件数へ届くまでの時間もおおむね三倍になります(TikTok広告 予算のベストプラクティス(英語))。予算を一つのセットに集めるのは、この件数へ早く届かせるためです。

分けるのは、狙いが明確に違い、それぞれにこの予算を回せるときだけです。ただし、はっきり検証したい仮説があってセットを分けるA/Bテストは別で、条件をそろえて比べる意味があります。

4-2. 学習期間中|大きな変更は学習をやり直しにする

落ち着きかけていた配信が、また不安定な状態に戻る。予算やターゲットに手を入れると、そこまでの学習が振り出しに戻るからです。

公式の予算ガイドでは、コンバージョン最適化では学習を抜けるまで、ターゲティング・入札・予算を変えないよう案内されています。抜けたあとも、予算は前の±50%の範囲にとどめ、変更後は2日ほど待ちます(TikTok広告 予算のベストプラクティス(英語))。早めようとした調整が、かえって抜けを遠ざけます。

成果が不安定なのは、学習が済むまではむしろ当たり前です。数値の上下に反応して触るほど、やり直しが重なります。触るなら、配信が落ち着いたのを確かめてから。急ぐときも、一度に一箇所、間隔を空けて変えます。

いつまでも抜けられないときは、ターゲティングを広げる、入札を引き上げる、クリエイティブを見直す、という対処が公式のよくある質問で案内されています(TikTok広告 学習期間のよくある質問(英語))

待つだけでなく、母数やクリエイティブの側に手を入れる段階です。

5.自動化(Smart+)でも成果の定義と除外は人が決める

5.自動化(Smart+)でも成果の定義と除外は人が決める

広さ・シグナル・構造を手動で設計してきましたが、これらをまとめて自動化する選択肢がSmart+です。任せられる手間と、任せても残る設計は分かれます。

5-1. Smart+|配信・クリエイティブの最適化を任せられる

Smart+は、新しい軸を足すものではありません。手動でやってきた運用を、まとめて引き受ける仕組みです。配信相手の探索や、クリエイティブの出し分けが自動で回ります(TikTok広告 Smart+キャンペーンについて(英語))

全部が自動になるわけではありません。ウェブの売上を狙うSmart+ウェブキャンペーンでは、最適化目標、入札戦略、予算、そしてオーディエンスの枠を人が決めます(TikTok広告 Smart+ウェブキャンペーンについて(英語))。オーディエンスで指定できるのは、地域・言語、性別(一部の広告主のみ)、そして届けたくない相手の除外です。

クリエイティブは、動画をアップロードするか、AI生成の補助を使ってそろえます。Smart+は少ない入力で動きますが、渡す入力の質で結果が変わります。どの成果を狙うか、どんなクリエイティブを渡すか、誰を外すか。ここが決まっていれば、あとの探索や配信の調整は自動に任せたほうが回り続けます。

配信面は自動で選ばれ、TikTokに加えて、対応する市場ではPangle・検索・Lemon8にも配信されます。Smart+では配信面の手動選択はできず、特定の面を外したいときは、非Smart+のキャンペーンで設定する必要があります(TikTok広告 Smart+ウェブキャンペーンについて(英語))

5-2. 設計|成果の定義が探す相手を決める

入力するといっても、機械的に埋める項目ではありません。狙う成果をどう定義し、誰を除外するか。ここは自動化しても、人の設計判断が残ります。

成果の定義しだいで、システムが探す相手は変わります。購入で最適化するか、その手前で最適化するか。向かう先は、人が入れた成果で決まります。自動化が担うのは探し方で、目指す先ではありません。

名簿の扱いは、使うSmart+によって違います。Smart+ウェブでは、人が渡すのは地域・言語・性別の枠と除外までで、名簿を種に細かく作り込む設定はありません(TikTok広告 Smart+ウェブキャンペーンについて(英語))。一方、アップグレード版のSmart+では、カスタムや類似を候補として足したり、手動ターゲティングへ切り替えたりもできます(TikTok広告 アップグレード版Smart+のターゲティングについて(英語))。いずれにせよ、種を細部まで組むより、成果の定義で方向を示すのが基本です。

除外は、配信を広く任せるほど重みを増します。広く探させるからこそ、届けたくない層を先に外しておく。既存顧客を含めるか除くかの判断は、自動化しても人の側に残ります。

だから、何を成果とし、誰を外すか。この2点だけは自動に渡さず、自分で決めます。

6.よくある質問(FAQ)

Tiktok広告についてのQ&A

獲得目的なら既存顧客を除外したほうがいい?

目的ごとに名簿を分けて、両方作っておくのが本筋です。新規獲得のセットでは既存顧客を外す。すでに買った人へ獲得用の広告を当てても新規は増えず、その費用が新規に回らなくなるためです。リピートや買い増しを狙うセットでは、同じ既存顧客をあえて配信先にします。

一つのセットの中で、外すと当てるは同時にできません。だからこそ、既存顧客のカスタムオーディエンスを作り、獲得のセットでは除外に、再訪のセットでは配信先に使い分けます。名簿づくり自体は一度で済みます。ただし、セットを増やせば予算と成果は分かれるので、それぞれに学習を抜けさせる予算を確保できる範囲で分けます。

カスタム・類似を作れるデータがない立ち上げ期は?

種にできる顧客データがまだない時期は、名簿は使わず、広めの配信と最適化イベントで学習を回します。カスタム・類似はあれば足せる入力なので、なくても配信は始められます。

先にやることは、計測を整えることです。ピクセルやイベントが正しく動いていれば、配信で発生した成果がそのままデータになります。件数が育ってから、それを種に類似へ広げます。

7.まとめ

まとめのイメージ

TikTokの配信は、対象を絞り込むほど成果データが細り、学習が止まります。設計の軸は、広さ・シグナル・構造の三つ。配信は広めに置き、狙う成果と種になる名簿でアルゴリズムにシグナルを渡す。広さを成果に変えるのは、反応を取れるクリエイティブです。広告セットは分けすぎず、一つに予算を集約する。カート追加や購入で最適化するなら、日予算を直近のCPAの10倍に置くのが公式の目安です。

Smart+に任せる場合も、この設計は人の手に残ります。相手の探索やクリエイティブの調整は自動でも、狙う成果、入札戦略、そして誰を外すかは、渡す側が決めます。自動化は、設計を手放すことではなく、設計どおりに動かす手間を減らすことです。

配信が伸び悩んでいるときは、条件が絞り込まれすぎていないか、セットが予算に対して分かれすぎていないかを見直すと、糸口が見えます。

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