MMP(モバイル計測パートナー)とは|Adjust・AppsFlyerの選び方

MMP(モバイル計測パートナー)とは|Adjust・AppsFlyerの選び方
  • URLをコピーしました!

アプリ広告を出しても、どの広告が実際のインストールや課金につながったのかは見えにくいものです。媒体ごとの管理画面には、それぞれ自社経由とみなした成果が並びます。単純に合計すると同じ成果を二重に数え、実態より多く見えます。

この数字のズレは、アプリ広告を出す多くの現場で起きています。原因は、広告・アプリ・ストアが別々の仕組みで動き、クリックとインストールが自動ではつながらないことにあります。

この橋渡しをするのがMMPです。広告のクリックからインストール、その後の課金までを一つの基準でつなぎ、どの広告が成果につながったかを判定します。

代表的なMMPであるAdjustAppsFlyerは、料金も対応範囲も大きく違います。同じ基準では選べないため、自社の規模や体制に照らして選ぶ必要があります。

1.インストールや課金を広告ごとの成果として計測するのがMMP

MMPでアプリ広告のインストール成果を計測するイメージのスマートフォンのイメージ

MMPで測れるのは、広告が生んだインストールと、その後の課金までです。担える範囲は、仕組み・計測対象・成果とみなす期間の3点で決まります。

1-1. 広告とインストールを紐づける仕組み

MMPは、広告のクリックや表示の記録と、アプリがインストールされた記録を照合します。そのインストールが、どの広告の成果かを判定します。

照合に使うのは、両方の記録に残る識別情報です。たとえばAndroidの広告IDや、クリックごとに発行される番号です。これらが両方の記録で一致すれば、「この広告を見た人がインストールした」と確実に判定できます。

識別情報が取れないときは、推定で補います。端末の種類やIPアドレス、接触した時刻の近さを組み合わせ、どの広告がどのインストールにつながったかを割り出す方法です。こうした手法はフィンガープリントと呼ばれます。

ただし、いまのところフィンガープリントはiOS(iPhone)で原則使えません。同意なく個人を識別する手法だとして、Appleが制限しているためです。

Androidでは、iOSのような強い制限はありません。広告ID(GAID)が使え、Googleも2025年にGAID廃止の計画(Privacy Sandbox)を取りやめました。当面は大きく変わらない見込みです。

これらの記録を集めているのが、アプリに組み込むSDK(計測用のプログラム部品)です。SDKは、インストールやその後の行動を検知してMMPに送ります。組み込みや設定を誤ると、この検知がそもそも動かず、以降の数字は実態を表しません。

1-2. 計測できるのはインストールとアプリ内イベント

MMPが計測できる成果は、大きく2種類あります。インストールと、インストール後のアプリ内イベントです。

インストール:新規の導入と、離れた利用者が戻る再エンゲージメント

アプリ内イベント:会員登録・カート投入・購入・課金など、あらかじめ決めた行動

インストールだけを成果にすると、分かるのは「アプリが何件インストールされたか」までです。購入まで成果にすれば、「売上につながった広告はどれか」まで見えます。

どのイベントを成果に選ぶかは、Googleアプリキャンペーンの計測とイベント設計で具体的に取り上げています。

1-3. 成果とみなす期間を区切る計測ウィンドウ

計測ウィンドウとは、クリックや表示から何日以内のインストールを成果に数えるか、という期間の区切りです。

期間は、クリック経由と表示経由で分けて設定します。クリックは、ユーザーが自分で広告をタップした行動です。関心が強いので、成果に数える期間を長めにとります。

表示は、広告が画面に出ただけの接触です。関心があるとは限らないので、期間を短くします。そうしないと、たまたま広告が出た人まで成果に数えてしまいます。

たとえば「クリックは7日、表示は1日」と分けます。クリックした人は7日以内、表示された人は翌日までのインストールを成果とみなす、という意味です。値は媒体や設定で変わります。

AdjustやAppsFlyerといったMMPを比べるときは、この期間の基準をそろえます。基準が違うと、成果の件数を正しく比べられません。

2.媒体の自己申告と計測制限で数字は実態とズレる

複数の管理画面の数字が食い違う様子のイメージ

広告の成果は、GoogleやMetaなど各媒体の管理画面に数字で表示されます。ただし、その数字はそのままでは実態を表しません。

ズレる理由は大きく2つあります。媒体が自分で成果を申告する仕組みと、iOSのプライバシー保護による計測の制限です。

2-1. 媒体ごとの成果を合計すると二重にカウントされる

問題は、同じ1件のインストールを、複数の媒体がそれぞれ自分の成果として数えてしまうことです。

たとえば、あるユーザーがGoogleの広告をクリックし、後日Metaの広告を見てからアプリをインストールしたとします。クリックを計測したGoogleも、表示を計測したMetaも、それぞれ「自社が獲得した」と数えます。実際のインストールは1件なのに、合計すると2件に見えます。

これは、各媒体が自分の管理画面だけで成果を数える「自己申告」だからです。媒体は、他社の広告との重複を知りません。

MMPは、すべての媒体の記録を一つの場所に集めます。そして重複を除き、最後に接触した広告1つに成果を割り当てます。だから、各媒体が表示する数字を単純に合計した値と、MMPが出す数字は一致しません。

2-2. ATTでユーザー単位の広告追跡が制限された

iOSでは、2021年から新しい仕組みが入りました。ユーザーが他のアプリやサイトで何をしたかを、広告のためにたどるには、本人の許可が要るようになりました。この仕組みをATT(アプリのトラッキングの透明性)と呼びます。

許可を求めるのは、iOSが各端末に配る広告用のID(IDFA)を使うためです。ユーザーが「許可しない」を選ぶと、このIDは使えません。

IDが使えないと、どの広告を見た人がインストールしたかを、個人単位で確実にたどれません。許可しないユーザーも多く、確実な計測でカバーできる範囲は小さくなりました。

Androidでは、iOSほどの制限はまだありません。Googleは2025年に同様の計画(Privacy Sandbox)を取りやめており、当面は現状が続くとみられます。

2-3. Appleの集計型計測にMMPが対応して精度を補う

個人を特定しない形でも成果を測れるよう、Appleが用意したのが集計型の計測です。誰か個人ではなく、「この広告から何件のインストールがあったか」をまとめて受け取る方式です。

広告ネットワークやアプリは、成果をAppleにいったん預けます。Appleは個人が分からない形に整え、時間をおいてまとめて通知します。この通知をポストバックと呼びます。

この仕組みの中心が、SKAdNetworkです。2026年時点では、そのバージョン4.0が実運用の主軸です。その発展形にあたるAdAttributionKitも登場していますが、移行はまだ途上です。

枠組みを用意するのはAppleで、MMPはその集計データを受け取り、成果の判定基準を整えます。集計型は個人単位より粗いため、通常の計測と組み合わせて精度を補います。

3.AdjustとAppsFlyerは費用構造も対応範囲も違う

二つを比較するイメージ

MMPはAdjustとAppsFlyerのほかにも複数あります。本記事では、利用が広く比較の出発点にしやすいこの2社に絞ります。料金・機能・サポートのどれを重視するかで、向く相手が変わります。

3-1. 料金|課金の仕組みと機能ごとの追加費用

2社は、料金がかかる対象が違います。AppsFlyerは成果の件数で、Adjustは有料プランでは月ごとに計測する利用者の数で費用が決まります。この利用者数をMTU(Monthly Tracked Users)と呼びます。

項目AppsFlyerAdjust
課金の単位コンバージョン(成果)の件数有料プランは月ごとの計測ユーザー数(MTU)
無料で使える範囲Zero(自社サイト等向け)/Growthは初年度12,000コンバージョンまでBase:月1,500件の成果まで(最大12ヶ月)
有料化の目安Growthは超過分が1件あたり約11円(0.07ドル)Core・Enterpriseは個別見積

※円換算は2026年7月時点の為替(約1ドル163円)です。ドル建て請求のため、実際の額は為替で変わります。

広告費をかけず、自社サイトやメールからの集客だけを測るなら、AppsFlyerの無料プラン(Zero)で足ります。有料の広告を出すなら、その上のGrowth(有料の計測プラン)が前提です。Adjustは、まず月1,500件までを無料で試せます。

不正対策や高度なレポートは、上位プランや追加メニューの扱いになりやすい機能です。契約の総額は、この追加分だけ増えます。

3-2. 計測機能|対応OS・プライバシー計測対応・連携先の広さ

計測の土台になる機能は、両社ともほぼ同じです。iOSのプライバシー計測にも、Androidにも標準で対応します。

2社の差が出るのは、連携できる広告媒体やツールの数と、高度な機能の作り込みです。どちらも多くの媒体・ツールにつながりますが、対応の範囲や設定の細かさに違いがあります。

広告費をムダにする不正なインストールを防ぐ機能も、両社が持っています。短時間の大量インストールや、実在しない端末からのインストールなどを見分けて除きます。

この機能は、AppsFlyerではProtect360、Adjustでは不正防止スイートとして提供されます。違いは、対応する不正の種類と、除外の細かさに表れます。自社の配信で起きやすい不正に、どこまで対応しているかで比べます。

3-3. サポート|管理画面の使いやすさと日本語対応

運用のしやすさを分けるのが、管理画面の分かりやすさと、日本語での支援の手厚さです。

AdjustとAppsFlyerの管理画面は、どちらも多機能です。使い勝手の評価は、利用者によって分かれます。初期設定のしやすさも、操作する担当者の慣れによって印象が変わります。

日本語サポートの範囲は、プランによって変わります。たとえばAdjustの無料枠は、英語メールでの対応が基本です。

導入時に設定を手伝ってくれる支援や、自社専属の担当者がつくかどうかは、上位プランほど手厚くなります。公式の操作マニュアルやヘルプが日本語で読めるかも、MMPを選ぶ際の確認点です。

4.AdjustとAppsFlyerの最適解は自社の規模・予算・体制で変わる

分かれ道でモバイル計測パートナー選びを示すイメージ

同じAdjustとAppsFlyerでも、立ち上げ期・成長期・少人数運用では選ぶ決め手が変わります。まず自社が今どの段階かを見きわめ、その段階で重視すべき軸から選びます。

4-1. 立ち上げ期は無料枠の上限と有料化後の費用で選ぶ

無料枠で足りるうちは、単価の細かい差は結果にほとんど影響しません。まず、自社の月間件数が無料の上限に収まるかを確かめます。

収まるなら当面は無料で運用でき、超えたら課金が始まります。だから、超過後にどう課金されるかを先に見積もっておきます。

月に数百件なら、Adjustの月1,500件の無料枠で当面まかなえます。件数が予想しづらいなら、AppsFlyerの初年度12,000件から始める方法もあります。

ただしAppsFlyerの無料プラン(Zero)は自社サイト向けで、有料広告の計測には使えません。広告を出す前提なら、最初からGrowthで考えます。

4-2. 成長期は不正対策とレポート精度が分かれ目

出稿額が増えるほど、無効なインストールで消える費用は無視できなくなります。成長期は、不正対策とレポートの精度が費用対効果を左右します。

どちらの不正対策が自社に合うかは、配信内容しだいです。よく使う媒体で試用し、無効なインストールをどれだけ弾けるかを確かめます。

レポート精度も分かれ目です。集計型計測で成果をどう判定するかの設計しだいで、数字の信頼度が変わります。

Adjustの有料プランは計測利用者数(MTU)で課金されるため、利用者が増えた月は費用も大きく増えます。月ごとの利用者数の上限と、想定する月額を先に決めておくと、予算を超えにくくなります。

4-3. 運用体制が薄いならサポートの手厚さで選ぶ

計測の専任を置けるのは、ある程度の規模になってからです。担当がいないうちは、単価や機能数より、日本語で頼れるかを優先すると続けやすくなります。

設定やトラブルのたびに自社で抱え込むと、運用が止まります。困ったときにすぐ相談できる窓口があるかが、実運用の可否を分けます。

無料や下位のプランではサポートが手薄になりがちです。自社の英語対応力とあわせて、契約前にサポート範囲を確かめます。

よくある質問(FAQ)

よくある質問に答えるイメージ

MMPの導入(SDK実装)にはどれくらい期間がかかる?

決まった期間はなく、アプリの規模と、計測したいイベントの数で変わります。SDKを入れるだけなら短く済みますが、購入や課金などのイベントを一つずつ設定し、動作をテストする分だけ延びます。必要なイベントを先に洗い出しておくと、導入にかかる期間を見通せます。

GA4など既存の解析ツールとの併用は必要?

多くの場合、併用します。役割が違うためです。MMPは「どの広告が成果につながったか」を測り、GA4は「アプリの中でユーザーが何をしたか」を見ます。広告の評価とアプリ内の行動分析は、別のツールで補い合う形になります。

GA4のコンバージョン計測をどう組むかは、コンバージョン計測の基本|GTM・GA4・各広告タグの連携設計が参考になります。

乗り換え時に過去の計測データは引き継げる?

過去のアトリビューションの結果は、原則そのまま引き継げません。計測は、新しいSDKを入れたあとから始まるためです。過去にさかのぼって測り直すことはできません。

ただし、既存ユーザーの端末情報は新しいMMPに取り込め、同じ人を新規と二重に数えるのを防げます。それまでの生データ(ローデータ)は、プランによっては書き出して残せます。書き出せる範囲は各社・プランで違うため、契約前に確認します。

まとめ

まとめのイメージ

AdjustとAppsFlyerは、優劣で決まるものではありません。自社の規模・予算・運用体制のどこに重心があるかで、合う相手は変わります。

立ち上げ期なら無料枠と有料化後の費用、成長期なら不正対策とレポート精度、体制が薄いなら日本語サポート。判断の軸は、段階によって移ります。

迷ったら、まず無料枠で自社の配信を実際に計測してみることです。自社のデータで各社の精度や使い勝手を確かめれば、資料の比較だけで選ぶより外しません。

・どのMMPが自社に合うか決めきれない

・初期設定に不安がある

・媒体ごとの数字が合わず、本当の成果が分からない

どれか一つでも当てはまれば、まずはRaboの無料相談にお聞かせください。いまの計測の課題を一緒に整理し、自社に合う進め方までご案内します。

参考文献

Apple「App Reviewガイドライン」(5.1.2 データの使用と共有): https://developer.apple.com/jp/app-store/review/guidelines/

Apple「SKAdNetwork」: https://developer.apple.com/documentation/storekit/skadnetwork

Apple「AdAttributionKit」: https://developer.apple.com/documentation/adattributionkit

AppsFlyer「料金」: https://www.appsflyer.com/ja/pricing/

AppsFlyer「AppsFlyerの計測モデル」(クリック計測ウィンドウの既定値): https://support.appsflyer.com/hc/en-us/articles/207447053-AppsFlyer-attribution-model

AppsFlyer「ビュースルーアトリビューション」(ビュー計測ウィンドウの既定値): https://support.appsflyer.com/hc/en-us/articles/210084473-Measure-view-through-engagements

Adjust「料金」: https://www.adjust.com/pricing/

Adjust「アトリビューション期間」(計測ウィンドウの既定値): https://help.adjust.com/en/article/attribution-windows

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

お問い合わせ

関連記事

おすすめ記事

Copyright © Rabo Inc. All Rights Reserved.